先週6/21(火)に訪問した宮城県石巻市。
目的は、店舗でお客様よりお預かりした〝義援金〟を、 〝今必要としている物資〟に代えて搬送する。 (*これはボランティア活動をしに行く行為ではなく、 起きてしまった未曾有の出来事をこの目に焼き付け、 これからの生活・仕事面に少しでもプラスの意識変化があればと思う) 6/21(火)am2:00に柏を出発した僕らは、 柏インターから常磐道、東関東自動車道を経由し、東北道へ。 暗い夜道を雨の降る中北上した。 途中数回の休憩と運転手の交代をし、 まだ暗闇だった茨城県を通過し、薄暗くなりかけた頃は栃木県。 辺りはなんの変化も感じられない位の大自然。 本当に後数時間後には、TV見たあの凄まじい光景が来るとは思えない程の景色。 雨が降り出した朝方頃には、仙台まで●●kmの標識。 日の出とともに、何度も睡魔に襲われそうになる身体。 ブラックコーヒー、ガムと気合いで立ち向かう。 (後部座席でのミスター) 完全に朝であると認識した頃には、「仙台市へようこそ」の看板が、 (今となっては「頑張ろう!!東北・頑張ろう!!宮城」の横長のスローガンへ) この時点では、あのTVで見た様な凄まじい光景はさほど感じられない。 途中、東松島市の図書館(避難所)に立ち寄り、 僕らより3日程前より仙台入りしていたH君と再会する。 そしてこれから向かう石巻市内、女川町、雄勝町の現状を聞く。 昼間には30℃の容赦無い気温と今まで感じた事の無い様な異様な空気感。 H君を乗せて向かった先は、最初の目的地である石巻専修大学。 ここは石巻市における最大ボランティアのベースキャンプであり、 管轄はNPO団体PEACE BOAT。 大学野球部の室内練習場を倉庫として全国各地から物資が集まる。 全国から集まった物資は、 全国から有志で集まった人が市内各地に配送するといったシステム。 見習いボランティアの人は炊き出しの手伝い。 年長ボランティアの人は●●世帯●●人の把握をしているからこそ出来る、 その地域、そこの被災者の要望に合った物資からのピックアップ配送。 (これは僕らが普段仕事としているアパレル業の接客と同じで、 店舗にいらしてくれるお客様の〝顔〟が分かるからこそ出来る行為と同じ) 僕らが持参した物資は現地に事前確認し、今必要とされている〝殺虫剤類〟。 梅雨時期の今、港町石巻の大量発生している虫対策の為である。(主にハエ) 6/21当日の倉庫は、タイからの大量の飲料水と、 長野県の農家から届いた大量のレタスが到着していた。 その他の生活必需品はというと、予想以上に充実しており、 食料品は勿論。例えばサイズ別の衣類、掃除用具、シャンプーやコンディショナー、カイロ・・・。 必要な物と、ある意味、今の時期に不要になってしまった物が沢山ある。 TVの報道と実際この目で見た(確認した)事との相違に正直驚く。 物資を野球部室内練習場である倉庫に預け、 石巻市の観光名所である「日和山/ひよりやま」へ車で向かう。 途中、市内の変わり果てたであろう様子にため息をもらし、ゆっくりと坂を上る。 機能していない信号機の前は、 全国から派遣された各都道府県警が信号機の代替となり先導している。 ひと気の乏しい商店街、閑散としている道路。 それをあざ笑うかのようなカラッとした晴天。 日和山は市内を一望できる山。(かつては石巻城があった場所) 江戸時代には松尾芭蕉・弟子の曾良が訪れた事でも有名で、 市民憩いの場でもある神社や公園でもある。 春には桜が咲き、60m弱の山頂から見下ろす景色は、 手前に住宅地、その先に石巻漁港、左に北上川が流れる。 そしてあのTVで見た景色と同じ凄まじい光景が広がる。 言葉を失うのと同時に、そこには瓦礫以外何も無い土地。 本当に信じられない。 人も家も何も無く、そこにあるのは瓦礫を運搬するダンプカーと自衛隊の車両。 日和山から徒歩で下山し、かつて有ったであろう市内住宅地へ向かう。 誰もが予想出来なかった巨大で残酷な爪痕。 津波により流れ着いた誰かの衣類やサッカーボールが、下山途中の木の枝に引っかかるている。 住宅地にはもう何も無く、 有ったであろう玄関と、居たであろう家族の姿を想像できる。 (申し訳ないが勝手な想像しか出来ない。) 余りにも凄すぎて5分位経過すると、その光景が有る意味〝普通〟に見えてくる。 (〝普通〟という言葉が適切かどうかは分からない) 以前そこに有ったという事実が当たり前なはずなのに、余りに何も無さ過ぎて〝普通〟。 行く先々瓦礫しかないから、それが〝普通〟 適した言葉がみつからない。 例えるなら、befour / afterの〝after〟しか見た事がないから。 感情・悲しみ・無力さ・後悔・・・ 誰がしでかした事でも無い自然への怒り、矛先の無い怒りへの時間経過による自己消化。 それでもボランティアの人の話によれば、被災者方々は元気だそうで、 家族も恋人も友人も、皆奪われ、 「これ以上悲しみに浸っていても仕方ない。もう頑張るしかない!!」 そう聞いた時、 戦後の混乱期に、全てを失ったニホンが復興を目指し、 後に世界のトップに行く事が出来たあの底力とリンクした。 暫くして、異様な建物に気付く。 瓦礫の山の中に建つ〝寺〟である。 何故辺りが何もないのに、この寺だけは残っているのか。 不思議な感覚に、昔の人の何かを感じた。 さっきまで、晴天だったはずの市内が突然の豪雨。 急いで車に引き返す。 後で分かった事だが、この大地震で山の天候がおかしくなり、 震災後に突然の豪雨(スコール)が頻繁に起こるとの事。 天候までもを変えた巨大地震の知られざる後遺症。 石巻市をあとにし、僕らは女川町へと向かう。 ここは北上山地と太平洋が交わるリアス式海岸。 カツオの水揚げ、牡蠣やホタテの養殖が盛んな日本有数の漁場である。 また、東北電力管轄の原発を所有し、東方地方の電力源となっている。 そして、かつて広範囲に渡る石巻市との合併を拒否した町でもある。 確かに原発保有で潤っていた町。 しかし今となっては〝復興のシンボル=石巻市〟の隣町。 多くの復興資金が石巻市へと流れている。 何とも言えないが、考えさせられる。 山に囲われ、綺麗なリアス式海の女川町。 しかしその美しい姿は今となっては無残な物と化し、 有るのは瓦礫と酷く崩れた建物(おそらく旅館や施設) 家の欠片も無ければ、現地の方も居ない変わり果てた町。 唯一残るのは海抜25mの位置に建つ病院のみ。 巨大津波はこの25mの位置にも達し、病院1階の受付カウンターにまで押し寄せた痕跡を残す。 病院2階は患者やお年寄りが居たり、僕らの様なよそ者が多く居た。 言葉なんてもう出てこない。 出るのはため息とため息。 女川町から震災で崩れ、最近通過したばかり山道を車で走る。 途中、自衛隊の車両や白衣姿の医療チームとすれ違う。 20分位すると最後の目的地〝雄勝(町)〟 2005年の合併で新石巻市となった雄勝。 既に石巻市である雄勝は、市内から離れているせいか、 復興へのスタートすらしていない程の荒れたままの地域。 そこに有るのは、TVでみたビルの上に乗っかったままのバス。 トイレの洗面所に未だ残る誰かのスニーカー。 トランクが空いたままの霊柩車。 鉄骨むき出しの建物。 道なども無く、ある意味手つかずのまま。 瓦礫の山には、カモメが群がり何かを物色している。 誰もいない雄勝。 今後どうなって行くのだろう。 報道は復興のシンボルである石巻(市内)を取り上げ、 合併した他の地域には支援や資金が届きにくくなっている。 確かにシンボルは、明るいであろうこれからの未来には大切であり、希望でもある。 しかし、ほんの数キロ離れた場所では手つかずのまま、荒れ果てた地域も残る。 たまたま僕らは無事だった。 たまたま僕らは元気であった。 命は有るし、家族や友人、恋人もいる。 また、大切なスタッフもお客様もいる。 頭にくる人間ももいれば、そうでない人間もいる。 僕らはたまたま元気である。 元気であるから少しでも未曾有の事態をこの目に焼き付けておきたかった。 あの時は周りがやっているから始めたかも知れない。 けれど、なんの為に、誰の為に。 本当の意味とは!? 考えれば考えるほど、自分達がしてきた行為と責任感の欠如に凹む。 1から10がスタートとフィニッシュだとしら、 最後の10であるフィニッシュを自らするのが道理だと思っただけの今回の行為。 何の為に生きているのか。もしくは生かされているのか。 何の為に仕事をしているのか。 本当の〝意味〟を知る事により、 本当の〝自分〟に行きつく様な気がする。 iii3は何の為にやっているのか。 洋服が何で好きなのか。 人が何で好きなのか。 人間関係が希薄になった現代。 ある意味〝簡単〟に何事も得る事が出来るかも知れない。 しかし、本当の部分を自分なりに問い詰めれば、 答えは1つしか出て来ない。 それは、ヒトから始まりヒトで終わる。 今回の石巻訪問を通じ、 本当の〝意味〟を実感するのと同時に、再認識させられた。 そして、元気で丈夫な僕らが、 もっともっと勇気と情熱を持ってやらなければいけないと思った。 やりたい事が出来ている幸せ、 真剣だからこそとった真っ直ぐな行動。 iii3の代表として、そしてスタッフとして心の貢献が出来たと思えた一日でした。 山一つ越えると、そこは言葉の出ないほど美しい部分を残していた。 iii3/TANAKA
by iii3ithree
| 2011-06-28 22:40
| iii3
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